◆売上300億円、プライム市場上場企業、電気部品製造業の例

 

・ある特定の用途において使用されるセンサーと関連製品を製造販売する老舗企業で、業界では高いシェアを持ち、売上も堅調で営業利益率も10%程度と決算資料を見る限りは優良企業に見えましたが、経営陣の悩みは生産プロセスがブラックボックス化していることと、基幹システムはあるものの実際の業務はベテラン社員が工程を決め手配している状態で、生産の進捗状況も分からない状態であるということでした。市場での高いシェアによって安定した経営を行っているように見えていましたが、その内実は将来に対して大きなリスクをはらむものでした。

 

・経営陣は、この状態を改善しようと新たなプロジェクトを立ち上げ、業務プロセスの改革を行うことを決断し、基幹システムのベンダーに相談したところ、システムベンダーは仕様が決まればシステムを改善できるが、その前に業務プロセスの改善が必要であるということから「久保丈夫コンサルティング事務所」へ共同で改善活動を推進したいという依頼がありました。

 

・改善プロジェクトは、顧客の要望で担当者の方々からそれぞれが感じている課題を出してもらう形でスタートしました。業務としては引合い時点での見積業務、受注時点での生産計画と部品の手配、部品の在庫管理と外注への部品支給、生産時点での差立て、各工程への部品の配膳などなど、担当の方から現在抱えている課題を挙げて頂きました。担当の方から直接お話を聞くヒアリングを何回も行い、100件を超える課題を出していただきました。それらを整理し、業務プロセスを変更すべき課題と、システムの改修で対応できる課題をまとめ、改善策をまとめました。

 

・しかし、それらを改善できたとして、本当に全体の業務プロセスが整流化され、生産性が上がり、状況が改善できるのかという懸念が残りました。それは、課題を挙げて頂いた担当者の方は、ご自身が担当している業務についてはある程度の不便さがあってもそれが当たり前という感覚があるので、改革という視点では捉えにくい面があるからです。また、業務プロセスという全体の業務の流れを見ているのではなく、ある限定された範囲の業務に関しての問題点や課題を考えてしまいがちです。そのような状況では、日常業務の中で感じるやりずらさや困りごとを改善する程度の課題ばかりで、大きな改革を求めるような課題が出てきにくいからです。

 

・そこで、基本に立ち返って、現場で担当者の業務の説明を聞きながら業務プロセスの最初から最後までを見せて頂きました。そして、その結果から業務プロセス全体の改善を提案しました。私からの提案は大きく5つの分野に対しての改善策で、その中にはあるプロセスを部門を跨いで統合する案も含まれていました。それは、社内の人にとっては目から鱗の提案だったようで、人員の再配置も含めて業務を再定義し、業務整流化と生産性改善に大きな効果をもたらしました。